空気の流れ&水の流れ

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簡単に作れる流れの解析プログラム(非圧縮性流れ場解析の新手法)

3D非圧縮性流体の新解析手法

空気や水の流れを解析するにあたって、非圧縮性流体として取り扱える場合がほとんどです。空気は圧縮性流体ですが、音速の半分の速度(約170m/s=時速612km)以下では、圧縮性を考慮する必要はないとされています。

圧縮性流体よりも一見簡単そうな非圧縮性流体の流れを解こうとすると、質量保存則をどのようにして保証するか、圧力分布をどのように決定するか、という難しい問題が立ちはだかります。圧縮性流体ならば、質量保存則と圧力分布の間には密接な関係があって、これを利用した色々な計算手法が開発されているのですが、非圧縮性流体の場合にはこの関係が断ち切られてしまいます。

先人は質量保存則と圧力分布の関係式を、人工的に作って流れを解いてきました。解析に使う差分も、風上差分などの繊細な配慮の上で、流れを解いてきました。
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本方法は質量保存則(連続の式)を使わず、運動量保存則(Navier-Stokesの運動方程式)だけで流れを解いてしまいます。
圧力分布は運動量保存則から自然に導かれる関係式(圧力関係式)を用いて決定します。この関係式で圧力分布を求めて、次の時刻の速度分布を求めることを繰り返していきます。しかし、質量保存則はどんどん崩れて、解はすぐに発散してしまいます。

これを解決するために、圧力関係式の中に1つの項を追加します。この項は質量保存則が完全に成り立っていれば値が0となる項です。この項の役目は、質量保存則が崩れるとそれを元に戻して、質量保存則が成立する状態にすることです。このようにすることで、すべての時刻で質量保存則が厳密に成り立っているわけではないけれど、ほぼ質量保存則が成りたっている解を得ることができるのです。

この解法の利点は、最も単純な中心差分を用いても、安定した解が得られることです。
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流れ場を芝生の庭の管理に例えてみます。質量保存則を成立させない原因を雑草だとします。先人の方法は、毎日雑草を根こそぎ抜きつつ、完璧な芝生の庭を提供しようとします。本方法は毎日芝の頭を刈るだけです。雑草は存在しますが、大きく伸びることはできません。十分見た目に美しい芝生の庭を提供できます。


ご興味のある方はお読みください。
日本機械学会 2018 年度年次大会 講演論文集 〔2018.9.9-12,吹田〕
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日本機械学会2019年度年次大会講演論文集20199.8-11,(秋田
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特許出願中で、公開されました。
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2020年9月14日 日本機械学会年次大会で発表しました

円管層流について調べました。

レイノルズ数が2300までは、初期の乱れが大きくても層流を保つとされています。

私共の計算手法で円管層流を計算してみました。レイノルズ数が1400以下では、大きな外乱を与えても計算を継続しますが、レイノルズ数が1500以上では、解は発散してしまいます。これは乱流になることを意味するのではなく、大きな乱れに発展して差分法での計算継続ができなくなったことを意味します。

内径13mm長さ4mの透明パイプを使って、可視化実験をしてみました。レイノルズ数が1400以下では細管から流出した染料は乱れることなく1本の直線を保っていますが、レイノルズ数が1500以上では細管の出口から染料は乱れて、下流に行くに従い直線が薄くなり、周りの液体が染料に染まっていることが観察できました。

このように、計算結果と実験結果がよく一致することがわかりました。

講演論文をアップします。ご興味のある方はご覧ください。
日本機械学会2020年度年次大会講演論文集2020914(名古屋
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2021年11月10日 日本機械学会流体工学部門講演会で発表しました

Navier-Stokesの運動方程式の右辺に非定常Reynolds応力を加えることにより、解が発散しにくくなることを明らかにしました。
円管層流において、レイノルズ数が1500以上では管中心部に乱れが発生し、Navier-Stokesの運動方程式はすぐに発散してしまいます。非定常レイノルズ応力をNavier-Stokesの運動方程式右辺に加えることにより、レイノルズ数が1500~2000では解の発散を大幅に遅らせることができます。
しかしレイノルズ数が2000以上では、解の発散を遅らせる効果は顕著ではなくなります。

日本機械学会第 99 期流体工学部門講演会 講演論文集
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2022年3月15日 日本機械学会関東支部総会講演会で発表しました

レイノルズ数が2300以上の円管乱流の解析が、Navier-Stokesの運動方程式右辺に非定常レイノルズ応力を加えることと、発散しそうなセルに対して発散を抑える操作を加えることで、実験で得られた平均速度分布と一致する解を得ることができることを報告しました。

日本機械学会関東支部 第 28 期総会・講演会 講演論文集
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サンプルプログラムです
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発表に用いたパワーポイントに質疑応答を加えました
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2022年9月14日 日本機械学会年次大会(富山大学)で発表しました

円管と正方形管の乱流における圧力損失を求める方法について報告しました。
講演論文
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正方形断面流路の乱流解析プログラム
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パワーポイント、質疑応答を加えました
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2022年11月13日 日本機械学会・流体工学部門講演会(熊本大学)で発表しました

円管乱流の臨界レイノルズ数は2300であることが、実験的に知られています。このことを私共が開発したCFD解析で再現できるかが主題です。
このように話しました。

初期の乱れがない場合には、レイノルズ数が100000まで層流であったという実験結果が報告されています。これからの話は初期の乱れが大きい場合の話です。
初期の乱れがあってもレイノルズ数が1500までは、管全体に乱れはありません。
レイノルズ数が1500を超えると、中心部に乱れが発生します。しかしこれはまだ乱流ではなく、層流です。
乱流状態は壁面近傍で乱れが、中心部の乱れから誘起されて発生して、中心部に波及していく状態です。
このようにイメージしています。
部屋の中で焚火をします。でもこれはまだ火事ではありません。
その火が壁に燃え移ったとき、火事になります。

レイノルズ数が2300以下では乱流状態にならないことを調べるにはどうしたらよいかを考えました。まず部屋の中でできるだけ激しい焚火をする。それが壁に燃え移るかどうかを調べればよいのではないか。そこで流路中心部に外部から強い乱れを与えて、それが壁面近傍に波及していくかどうかを調べればよいのではないかと考えました。

図は主流方向の乱れ速度の大きさと断面の乱れ速度の大きさをかけて算出したレイノルズ応力の大きさです。横軸は半径で0が中心0.5が壁面です。この図からわかることはレイノルズ数2400以上では、多少なりとも壁面近傍から乱れが発生して中心部に波及していることを確認できますが、2300以下では壁面近傍から発生した乱れが中心部に波及している兆候はみられません。
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ここではupできませんが、次のような動画を見ていただきました。
中央断面の渦度分布(Re=2700,2200,2300,2400)、これによって壁面近傍から強い乱れが発生しているかどうかを判断できます。
壁面近傍の乱れ速度分布(Re=2700,2200,2300,2400,2500,3000)これによって、どのように壁面近傍から乱れが発生しているかを確認できます。
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この動画を見ていただくことで図の意味がよくわかって頂けました。
結言として

『中心部の半径4割の流体相に強い外乱を与え続けて,壁面近傍から発生した乱れが中心方向に波及する様子を調べた。レイノルズ数が2300以下では波及は見られないが、2400以上では波及することを確認した。

壁面近傍における乱れの発生模様を計算結果から可視化したところ、レイノルズ数が2300までは壁面近傍から乱れが発生する頻度は少なく,レイノルズ数が増すに従ってこの頻度が増加する。レイノルズ数が3000近くになると常時壁面近傍から乱れが発生していることが確かめられた。レイノルズ数が2300~3000の範囲が初期の乱れが大きな場合の遷移域に相当すると考えられる。

初期の乱れが大きな場合、臨界レイノルズ数の下限が2300であり、レイノルズ数が3000あたりまで遷移域があるという従来の実験結果と矛盾しない計算結果が得られた。』
として講演を終え、大きな拍手を頂きました。
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次のような質問を頂いた。
『臨界レイノルズ数の下限が2300であること、レイノルズ数2300~3000の範囲が遷移域になることをシミュレーションできたことはわかりました。むしろ何がまだ解明できていないのですか?』

「実験値と一致する、レイノルズ数によって微妙に変化する円管乱流の時間平均速度分布を算出できることを既に発表しました。算出される管摩擦係数がムーディー線図の値と一致することを次の講演会で発表します。算出できていないのは、滑らかな円管乱流の管摩擦係数です。」
と回答した。
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11月13日に、日本機械学会年次大会で発表してから10日ほどが経った。会場で次のような質問があった。
「何か、特別なことをしていませんか?」
私としては、説明した以外に特別なことはしていないので、回答に窮した。
「先生がどのような特別なことを期待しておられるのか・・・・・困っています。」
と返事をして、次の質問に移った。

あの先生は何を尋ねておられたのか、ずっと心の隅で考えてきた。多分こうだ。
「自分たちも同じように乱流に対する処置を施して、自分たちが使っているCFDプログラムで計算をしてみた。しかし解は発散してしまう。解が発散しないようにするために、説明以外に何か工夫があるのではないか」

これならば明確に回答できる。
「従来のCFDプログラムは、各ステップごとに厳密に連続の式(質量保存則)を満たすように計算を進めていきます。私共が開発したCFDプログラムは、連続の式を満足しないセルが現れてもそのまま計算を継続します。そして数ステップをかけて連続の式を満足するように自動的に修正していく項を付加してあります。これによって、外部から平均流速の40%もの大きさの乱数を速度に加えるような強引なことをしても、解は発散しないのです。このあたりのことは私共のホームページにサンプルプログラムを含めて既に発表した内容をまとめてありますのでご覧ください。」
と回答するべきでした。

何と我が頭脳の鈍いこと、10日も経ってやっと真意がわかった(笑)
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講演論文
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サンプルプログラム
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2023年3月17日 日本機械学会関東支部総会講演会で発表しました(オンライン)

円管乱流の管摩擦係数について、計算セルの一辺の長さをムーディー線図の粗さと考えると、ムーデー線図の管摩擦係数を予測できることを報告しました。
ご質問は次の2点でした。
(1)計算セルを工夫して円管表面を滑らかにするとどうなるか
   回答:有限の計算セルによる境界の凹凸によって壁面から乱れが自然発生しています。滑らかにすると、乱れが自然発生しなくなる可能性があります。
(2)境界面の凹凸は流れ方向に存在しないようですが・・・・流れ方向にも凹凸をつけてみては如何
   回答:その通りです。流れ方向には凹凸はありません。それなのにムーデー線図の管摩擦係数が算出されることを、私も不思議に思っています。流れ方向に凹凸を設ける課題を承りました。検討いたします。
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講演論文
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パワーポイント
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サンプルプログラム
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2023年9月6日 日本機械学会年次大会(東京都立大学)で講演発表しました

今回の講演は、今までの解析方法に不都合が生じたので、その原因を究明し、修正方法を確立して、修正後の結果と、修正前の結果の相違点を明らかにするという内容。

込み入った話だったので、発表ではまず直径の100倍の計算領域でRe=10000の場合の計算結果を動画で紹介し、乱れが発生して圧力損失が増加する様子、それが下流に伝わっていく様子を見て頂いて、そのあとの話を興味を持って聞いてくださるように工夫した。

質疑応答は、どの講演に対しても活発に発言される方が、持論と結びつけながら、コメントをくださった。それだけで質疑応答時間が無くなってしまい、他の方から質問、コメントを頂けなかったのが、残念でした。
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講演論文
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パワーポイント
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サンプルプログラム
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2024年3月14日 日本機械学会関東支部総会(早稲田大学)で講演発表しました

二次元流れについてCFDの講義を始めましたが、今まで培ってきた3次元流れのノウハウが通用しないことがわかりました。改めて、2次元流れについて乱流現象をCFD解析する手法について調べた結果を報告しました。限られた場合についてしか検証できていませんが、2次元流路の管摩擦係数を算出できる方法について報告しました。

忘れないうちに、質疑応答をまとめておきます。
質問:従来の実験研究の管摩擦係数と比較していますが、どの結果と比較しましたか
回答:0.3164(*^-^*)
通じました。

質問:他の乱流解析の比較検討が必要
回答:中心差分法を用いており、プログラミングが簡単なところが長所です。

質問:運動方程式に、従来省略してしまう項を残すことで、計算が24倍も速くなるのは不思議です。何か他の操作を加えていませんか?もう一度動画を見せてください。
回答:(動画を再生しながら)その項を入れるかどうかだけが異なるプログラムを走らせています。他は全く同じプログラムです。

質問:今後どのように発展していきますか?例えば粗さを加えるとか、あるいは色々応用ができると売り出すとか・・・・
回答:3次元流路は代表的な円管の場合、断面がメッシュによってギザギザになりますが、2次元流路は、表面が滑らかな管路の計算ができることが特長です。もうしばらく滑らかな管路について研究を継続します。
色々応用ができると売り出すことは、今のところ全く考えていません。むしろ基本的なところを抑えたいと思っています。
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講演論文
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パワーポイント
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2024年9月9日 日本機械学会年次大会(愛媛大学)で講演発表しました

二次元流路のCFDによる乱流解析について、より広い範囲のレイノルズ数をカバーし、実験結果と一致する管摩擦係数と平均速度分布が得られる手法について、報告してきました。

発表直前、パソコンが再起動して更新を始めてしまい、座長の先生のパソコンをお借りして発表させていただきました。座長の先生には、感謝、感謝です。

座長の先生からいただいたご質問は次のとおり。
質問:レイノルズ応力などの検証をしていますか?
回答:この研究の前に行っていた3次元流れでは、検証し問題ないことを確かめましたが、2次元流路についてはまだ行っておりません。3次元流れではどうしても円管断面がギザギザになり、そこから乱れが発生してしまって、滑らかな管路の管摩擦係数を算出できなかったので、2次元流路で研究を進めています。

質問:では今後3次元流れに戻って研究の予定ですか?
回答:いえ、実は二次元流れについて、もう一つやっておきたいことがあるのです。例えば 高レイノルズ数の円柱周りの流れのような外部流も、同じ手法で解けるかどうかを試しておきたいのです。

パソコントラブルで無駄にした時間を取り戻すため、速く説明をした。多分わかりにくかったと思う。座長の先生が、基本的な質問をして下さり、再度導入部の重要な部分をゆっくり説明する機会を与えて下さった。座長の先生には重ね重ね感謝申し上げています。
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講演論文
https://media.toriaez.jp/y2445/92999.pdf
パワーポイント
https://media.toriaez.jp/y2445/294.pdf

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