自然との対話
こんなことをしてみたら、自然はどのように反応するだろう。
子どものような好奇心で、自然との対話をしてみましょう(*^-^*)
水中の回転円柱の軌跡
若いころ、こんな実験をしてみました。
お風呂のふたを斜めにして、真鍮棒をそっとその上に置くと、コロコロと勢いよく転がって、ジャボンと風呂の水の中に入ります。その真鍮棒は水の中で不思議な動きをします。
是非皆さんも試してみてください(*^-^*)
水中の回転円柱の軌跡 その2
50年ほど前、当時私は大学院の修士課程、金魚の大きめの水槽を使って、真横から回転円柱の動きを観察できるようにしました。とても興味深い動きをするのです。
これを記録に残すのは、当時は大変でした。16mmの高速度撮影機でプロに撮影してもらい、その結果は映画フィルムのようにリールにずしりと巻かれていました。
しかし今はコンパクトカメラやスマホでも高速度撮影が可能です。簡単な実験装置を作って、やってみることにしましょう(*^-^*)
水中の回転円柱の軌跡 その3
まずは水槽の準備
寿工芸 レグラスフラット F-300
を選びました。
長さx幅x高さ 19 x 31 x 26 cm
税込み2800円でした。
水中の回転円柱の軌跡 その4
水槽が届きました。まず真上から見た寸法を正確に測ります。
横内寸 180.9mm、横外寸 190.6mm
縦内寸 300.5mm、縦外寸 310.0mm
ガラス厚み 4.8mm
深さは 255mm
この上にスキーのジャンプ台(スロープ)の役割をする斜めの平板を用意します。条件は円柱の回転をイレギュラーにするような凹凸、歪みがないこと。この条件は案外難しい。ホームセンターで切り売りしているアルミ平角パイプ(縦横長さ40×20×1000厚さ2mm)を選びました。約 2000円。
水中の回転円柱の軌跡 その5
アルミチャンネルを斜めに保持する台を設計しましょう。条件は
①角度を自由に変えられること
②水槽中央に正確に安定して保持できること
2つの支持台で保持するこのにした。支持台の間隔を変えることで角度の調整ができる。支持台は人間が加工しようとすると複雑な形に見えるが、3Dプリンターにとっては、フィラメントを単純に積み重ねれば作れる易しい形。
全体.stl台1.stl台2.stlダウンロードして3Dビューアーなどで開くと、回転しながら色々な方向から見ることができます。台1,台2は3Dプリンターでそのまま加工することができます。
水中の回転円柱の軌跡 その6
円柱が転がり始める状態を、いつも同じようにするにはどうすればいいでしょう。
スタート地点の円柱の姿勢を保持する部品を作成しましょう。単純な構造です。
スタートライン1.stlスタートライン2.stl細心の注意を払って、発射台を作り上げました(*^-^*)
水中の回転円柱の軌跡 その7
円柱の転がり台は、水槽上端のガラスの上に設置します。水面は水平なので、水槽上面が水平である必要があります。長めの水準器があると便利です。1000円ほどで、380mmの水準器を入手できるようです(*^-^*)
水槽の下に紙などを敷き込んで、水槽上面が水平になるように調整します。
水中の回転円柱の軌跡 その8
最期の最重要アイテムは円柱だ。
手始めに直径6mm、長さ80mmの真鍮丸棒を試そう。
大切なのは切り出し方。ホームセンターで直径6mm、長さ1mの真鍮棒を、真っ直ぐであることを確かめて購入し、曲げないように切断しなければならない。グラインダーでそっと切断してみよう。
水中の回転円柱の軌跡 その9
長さ約80mmの3種の円柱を準備しました。
直径6mm 真鍮とアルミ
直径5mm 真鍮
早速実験、発射が不安定、大失敗・・・・・・
水中の回転円柱の軌跡 その10
水槽の蓋として、縦横厚み 290×130×3mmのガラス板が付属している。このガラス板を転がり台にしてみよう。
水中の回転円柱の軌跡 その11
水槽の付属部品のガラス板を転がり台とするセカンドトライ。3Dプリンターのお陰でもう装置が出来上がった。直径4mm長さ70mmの真鍮の円柱がコロコロと転がって水中に着水、その後水中で回転しながら興味深い軌跡を描く。
回転円柱の軌跡着水直後の円形の軌跡は飛行機の宙返り、その後のだんだん沈んでいく直線の軌跡は飛行状態と同じ。紙飛行機を力強く投げると、同じような軌跡を描く。
回転円柱が進めば、流れが回転円柱に当たる。このとき流れと垂直方向の力(揚力)が回転円柱に加わる。マグナス効果として知られている。揚力は回転数が大きいほど、進行速度が速いほど大きな力となる。
着水直後、円柱の速度、回転数共に大きいので、強い揚力(進行方向と垂直な力)が働くので、宙返りをしてしまう。水の抵抗で速度が小さくなり、回転速度も段々小さくなって揚力が減る。揚力、円柱に加わる重力と浮力の差、水から受ける抵抗力の3つの力が釣り合って、しばらくの間等速直線運動をする。
私は、円柱が斜めの台を転がり落ちて、回転しながら水中を進む単純な現象が、飛行機の飛行を模擬しているこの実験を気に入っている。セカンドトライでコンパクトな実験装置で再現できたのは幸運だった(*^-^*)
水中の回転円柱の軌跡 その12
転がり台の上の円柱の運動。円柱が転がり台を離れるときの速度と回転数を、理論的に考えてみましょう。役立つのはエネルギー保存則。発射時に持っている位置エネルギーと、離れるときに持っている運動エネルギーが等しいとすれば求まりそうです。
ここから先は右図でどうぞ(*^-^*)
水中の回転円柱の軌跡 その13
水中の回転円柱に加わる力を考えましょう。右図をご覧ください。
回転円柱の文献
水中の回転円柱の軌跡 その14
EXCELを用いて、回転円柱の軌跡をシミュレーションしてみましょう。
EXCELファイルダウンロードしてから開いてくださいね(*^-^*)